言葉の意味を教えるよりも大変なことがあります‼️
”抽象”の授業です。
数字や時間という”概念”を伝える授業が、一番難しいと今、生徒さんと過ごす時間の中でめちゃくちゃ痛感しています。
[st-minihukidashi fontawesome=”” fontsize=”” fontweight=”” bgcolor=”#f3f3f3″ color=”#000000″ margin=”0 0 20px 0″ radius=”” position=”” myclass=”” add_boxstyle=””]「ん?ジカンってなんですのん?」[/st-minihukidashi]えっと、、、そうね、あなたも時間の概念がない側のチームですよね。(犬には時間の概念がないっていうのを聞いたことあります。。。)
元々混沌としていた世界を、「時間」というもので区切った‼️
すげーよ。
これ決めた学者の先生方、ものすんごいことをやってくださった❗️と思うのですが。
それを「教える」ってことが、こんなに大変だって知らんかったよ。
今日はその、「時刻と時間」の授業について感じたことを書きます。
「時刻」は見ればわかる/時間の「経過」の伝え方がわからない
よくよく考えてみると、「時刻」のルールを覚える方法は、そんなに難しくありません。
短い針=〜時
長い針=〜分
それは「目で見てわかるもの」、視覚的認知が可能なのでルールは、「アナログ時計」を見ればまあまあ思い出せます。
でも、「時間」はどうでしょう?
長い針が「60目盛」進んだら、なんで「〜時」が+1増えるん?
この質問にどのように答えますか?
1時60分という言い方が誤りであることを、どの様に伝えるでしょうか?
私にとってこの「時間の経過のルール」を伝える方法は難題です。
結果として、私が使ったものは「模型の時計」でした。
「長針」を自分で動かして、「短針」の動きを追う=「具体例」から「抽象」へ
結局困った私が使った方法。
それは現代文の読解技術と同じでした。
「具体例を具体化する」
つまりは、「生徒さん自身で、時計の長針をひと目盛ずつ動かしてもらう」ことを繰り返す。
それに尽きます。
時間を自分で進めてみることを繰り返していくと、
○分は目盛の進み具合でしかないことに気づく。
そして、それに気づいた時、
やっと「抽象化」の作業に入っていける気がします。
例えば、次のような問題があります。
小学校2年生の算数の問題です。
[st-mybox title=”” fontawesome=”” color=”#757575″ bordercolor=”#ccc” bgcolor=”#ffffff” borderwidth=”2″ borderradius=”2″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]A君は午前10時10分に公園を出ました。家まで歩いて30分かかります。A君が家に着くのは、午前何時何分でしょう。
この問題は、「〜分」という分針の動きしか考えなくていいので、実質的な計算は「二桁の足し算」ですよね。
「10+30=40」という計算ができれば正答できます。
ところが、次のような問題は一つレベルが上がります。
[st-mybox title=”” fontawesome=”” color=”#757575″ bordercolor=”#ccc” bgcolor=”#ffffff” borderwidth=”2″ borderradius=”2″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]
Bさんは、午後1時40分に学校を出ました。家まで20分かかります。Bさんが家に着くのは午後何時ですか。
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この問題では、
「午後1時40分」に「20分」を「足し算」しただけでは、答えは出ません。
なぜなら、
「〜分」という単位は、「60」までいくと、次の「〜時」に”繰り上がる”(こういう言い方はしませんが)ことがわかっている
必要があるからです。
これば、短針の動きさえ見ればすぐに分かります。
でも、「文章だけ」で問題を解くことができる様になるまで、
数的処理の力が未発達な小学校低学年の場合は繰り返し「視覚化」して問題を解いていく必要があると思うのです。
*「40+20=60」という単純な計算では解けないこと。
*「60分」は「1時間」であること。
*「60分」経過したら、短針は「+1」進むこと。
文章題を限られた時間内で解くためには、これらの知識を瞬時に組み合わせて、
脳内の「時計の模型」をくるりと自分で回して、考える必要があります。
実はここは、非常に難しい概念なのではないか。
そう思っています。
だって、「長針」と「短針」の連動性は、子どもたちは”自分では”うまく言語化できません。
算数の教科書にも「なぜ長針が60進むと、短針が1進むのか」についての明確な説明はないんです。
だからこそ、言語や視覚による学習が得意な子どもたちには意識して、模型を自分の手で動かしてもらう。
「頭の中の時計」がぐるぐる自然に回るまで。
「長針」と「短針」の連動性が無意識に定着するまで。
実際に自分で時計を動かすワークを繰り返す必要があるんです‼️
さらに考えてみよう 〜「分」を過去に戻す時〜
さらに、次のような例題があります。
[st-mybox title=”” fontawesome=”” color=”#757575″ bordercolor=”#ccc” bgcolor=”#ffffff” borderwidth=”2″ borderradius=”2″ titleweight=”bold” fontsize=”” myclass=”st-mybox-class” margin=”25px 0 25px 0″]Cさんは、午後4時に家に帰る約束です。公園から家までは、20分かかります。
午後4時に家に着くには、公園を午後何時何分に出ればよいですか。
ここでもやっぱり、抽象化が得意な子はすぐ「60ー20=40」という計算ができます。
しかし、視覚優位の子どもたちは「午後4時に着くために、午後4時よりも前に(午後3時台)に公園を出る」ということがすぐには理解できないです。
そのため、「何時に出発すればいいかな?」と聞くと、「4時」と答える子は実はたくさんいます。
集団授業の中では、そのような子どもたちの存在に即座には気づけていないだけです。
実は「4時より前に出ないと4時にはつけない」ということは、文章からはうまく読み取れないからです。(説明されてないから)
そのため、
補足の言葉として板書してもいいかもしれません。
「4時よりも前、3時●●分に出ないと、家に4時に着くことはできません」とか。
または、
数直線や「位くん(私の「繰り上がり」を勉強するための教具)」のようなものを使って、
書いて説明します。
このように、「抽象的な概念」の基礎を学ぶために本当〜〜〜に重要な教科が「算数」‼️
この抽象を言語化する力をつけるために、今日も藤枝はウンウン唸りながら教材研究をしています😆🌟
最後に 〜長さや図形よりも難解なもの〜
今日は「算数」の中でも理解が難しいポイント「時刻と時間」の文章題の練習方法について考えたことを書いてみました。
「長さ」の単位も、「水のかさ(容積)」も実は概念的には似ています。
1ミリが10重なると「1センチ」になります。
これはよく”「メートル」を真ん中にして、他の”ミリ”や”センチ”の意味を教えればいい”と書いているサイトがありますが、
そんな抽象化の力があったら、「長さ」や「かさ」でつまづきません。
その説明が有効かどうかは、「時刻と時間」や「位」の繰り上がり・繰り下がりで引っ掛かるかどうかを基準にしていいと感じます。
この「位」や「単位」の置き換えの概念がスッと入ってこない子どもたちには、
「視覚化」の繰り返しが必須です。
今後も「抽象的な概念の視覚化」と「単位のルールの言語化」を試行錯誤して、
理解を深める教材づくりを進めていきます♪
では今日のブログはここまで!
次回は、高校生と学ぶ日本史の授業で気づいたことについて、書きたいと思います‼️
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
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*書き手*
藤枝陽(フジエダヨウ)
高校教員を2020年に退職。
2021年6月1日、「おうちフリースクールWAKAME新潟」を立ち上げる。
現在、個別学習サポート&学習不登校支援事業と、ハンドメイド作家、建設会社事務員という3足のワラジで活動中。

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